デビュー作「BLACK EARTH」からの"bury me an angel"のPVは奇妙なインパクトがあった。
あの時のタレサンかけて。
ボーカル兼ベースというのはさして珍しい事ではないが、奇妙だと感じたのはこのヨハン・リーヴァというフロントマンの風体である。
なんせスタローンか石原軍団かと言わんばかりのタレサンをかけたオールバックの男がリッケンバッカーを手に獣の様に咆哮しているのである。
その姿はまるで"Since You Been Gone"の頃のグラハム・ボネットの様であった。違うか。
姿はグラハム、声は獣。そのデスメタルらしくないギャップ萌え(死語)に、当時ハナを垂らした高校生だった私は、猛烈なカッコ良さを感じてしまい、鋼鉄の忠誠を誓うのであった。
そこに次のアルバムが発売されるとの朗報。
「次のアルバムでグラハム獣は一体どんな叫びを聴かせてくれるんだろう?」とワクワクしながら購入。
しかし、そこにはグラハム獣(しつこい)以上の衝撃が待ち受けていた…
スウェディッシュデス特有の、全てを破壊し尽くす様な音像は前作譲りだが、刮目すべきはメロディの充実度である。どの曲にも必ず耳に残るメロディがあり、それらを彩るツインギターの乱舞はギター小僧でもあった私の脳と股間を直撃した。
2曲目にいきなりインスト曲をぶち込んでくるという大胆さに70年代ハードロックバンドの面影を見たが、美旋律が暴れ回るという展開はその当時のバンド達には発想すら無かったと思われる天上のインスト"stigmata"
後発の作品でも見られる「メジャーキーにおける悲哀の表現」を堪能させてくれる"let the killing begin"
これ以上の絶望と悲劇があんのかよ?とド肝を抜かれたツインリードがエンディングを飾る"bridge of destiny"
…など、量はそれ程でもないがここぞという時に必ず入れてくるメロディの質は、キャリア2枚目にして至芸の域である。
中でもマイケル・アモットの全キャリア中最高峰の仕事と個人的に信じて疑わない"beast of man"のギターソロは、もう「泣き」とか「慟哭」などのレベルではなく、最早「啼血」である。
かといって弟も負けていない。短いながらも起承転結のハッキリした"dark of the sun"のソロなどは、分かりやすいメロディを超テクニカルな「極上の悲劇」としてお見舞いしてくれる。
マイケル・シェンカー風の兄、シュラプネル系の弟という対比も面白い。
勿論、我らがグラハ…もとい、ヨハン・リーヴァの仕事も素晴らしい。元々デス声とも何とも言えない唯一無二のケダモノじみた声質ではあるが、ここに来て表現の幅がアップ。凡百のデス声ボーカリストには真似出来ない次元に到達している。
というか、このバンドのアイデンティティの半分くらいはこの人が占めてる気がするのは言い過ぎだろうか。
作品全体がダークでミドルテンポの曲が中心な為、"diva satanica"のような激速ナンバーが浮いている…という印象は否めない。しかし、んなこたどうでもよろしい。それを補って余りある程の天賦の才による旋律の暴力が、20年以上経過した現在でも心を捉えて離さない。
しかしARCH ENEMYのカタログの中でも、何故かこの作品は特に影が薄い気がするのは気の所為か?
「wages of sin」以降、ソリッドでタイトな細マッチョメタル路線(褒め言葉)に軌道修正し、世界的に知れ渡る程に成長したが、私はこの頃の、IN FLAMESやDARK TRANQUILLITY等の同郷バンドとも違う、スカンジナビアの大量破壊兵器のようなスウェディッシュデスメタル然としたARCH ENEMYにこそ憧憬を抱いてしまう。
そしてヨハン・リーヴァには凄味があった。
また戻って来てくんないかなー、

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