いにしえの財宝を求めて featuring 「WITCHCRAFT」 by WITCHCRAFT

3/21/2024

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この世界には何の分野でもそうだが、「古いモノが好き」という層が一定数存在する。


ヨレヨレの誰が着たか判らないTシャツ収集や、どう見てもボロ布にしか見えないが"ヴィンテージのジーンズ"というファンタスティックな解釈をしてくれるプラス思考にも程がある古着コレクター、

実用性はともかくデザインはステキッ!インテリアにステキッ!あんまり使えないけどっ!などと仰る古家具マニア、

空調なんて知らねえぜ!修理費維持費なんのその
を旨とするオトコ前過ぎる旧車マニアのみなさんなど、

あらゆるジャンルにわたってその目的は鑑賞・歴史探訪・資産運用・カッコつけなど多岐に渡る。

場合によっては給料のほとんどを聴かないクセに古いレコード、CD収集につぎ込み、生活が厳しくなるという自業自得な輩もザラにいるのではなかろうか。
オレのことだ。悪かったな。


何故人間は古いモノに惹かれるのか。

なぜ最先端のテクノロジーでいにしえの技術を再現し、築100年以上の古民家を高値で取引し、大昔の風景に憧憬を抱き、土をこねて作った大昔の皿に天文学的数字の値段を付けたりするのか?


何かの記事で読んだのだが、昭和レトロを愛する人にとって、現代のデザインは「つまらない」のだそうだ。

顧客のニーズに寄り添い過ぎて、機能・性能に特化した挙句、シンプル過ぎる先鋭的なデザインが量産されがち…という事だが、それはそれで勿論悪いことではない。
そのお陰で我々の暮らしは飛躍的に便利になり、大きいものは小さくなり、重いものは軽くなったのだから。

ただそれによって失った言語化できない「何か」が、やはり古いモノには有ると言うことだろうか。

便利さ・機能性などそっちのけで只々「美しさ」を究める為に創られた芸術品めいた概念が、昔のモノにはあったということなのだろうか。

ハッキリとその正体は掴めないが、その失われた魔法のようなモノはやはり音楽にも存在する。

前置きが非常に長くなってしまったが、このWITCHCRAFTというバンドはその極北だと思われる。


一聴してすぐ分かる事だが、特筆すべきはこのむせ返るようなカビ臭さ
何の前情報もなければ、2000年代を生きるバンドとは誰も思わないだろう。

WITCHCRAFTは、現在という時間と空間に存在しているのではない。といってもそれは少しも大袈裟ではない。実際、彼等は少なくとも30年は生まれてくるのが遅かった」
(Rise Above Records プレスリリースより)

まるで50年前の地下室から聴こえてくる様な怨念めいたドゥームロックは、BLACK SABBATHというよりはPENTAGRAMの子孫といった趣だが、徹底したカビ臭プロダクションのお陰で70年代の未発掘テープにしか聴こえない。
60年代末、バーミンガムのアングラなクラブでLEAFHOUNDBLACKWIDOWらと共に同じステージに立って演奏していたんじゃないのかと錯覚させる程のリアルさ。
懐古趣味とかノスタルジーとかそんなレベルではない魔法のような空気感がここにはある。

PENTAGRAMの"Yes I Do"をカヴァーしているが、もはや模倣では無く、「そのもの」である。

原初のロックに影響を受け、あくまで今を生きるバンドとして受け継いでいるロックバンドは山ほどいるが、当時の音楽を空気感・体臭まで感じ取れるレベルまで再現したバンドはWITCHCRAFT以外に私は知らない。


果たして「今を生きる」バンド達が、同じ事が出来るだろうか?
それとも出来ないからこそ、人はWITCHCRAFTのようなバンドを求めるのだろうか?

求めるものが現代にない以上、過去の遺産にこれからも頼るしかないのだろうか?


古いモノを愛する人間の1人として疑念は尽きないが、現代のモノの価値観を否定するような考えだけは避けたいものである。





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